Destructured
Yutaka Yamauchi

2021

デザインについて: 歴史

前回はデザイン思考がエステティックを排除したことを説明しました。今回はデザイン思考には「歴史がない」ことの意味を説明したいと思います。デザインやクリエイティビティの文脈では、歴史は避けるべきものと考えられています。デザインもクリエイティビティも未来の社会を描くものだと言われ、過去を見ることは足かせにしかならないというわけです。しかし、歴史を作ることがデザインの目標でなければならないということです。真の革命は、過去へ跳躍し、過去を救済することでなされるというテーゼです。デザインとは、利用者の潜在ニーズを満たすことでも、顧客の問題を解決することでも、カッコいいものを作ることでもなく、人々の自己表現に関わる文化を作ることなのです。創造性とは、個人の内面のひらめきで未来を作るというのは幻想で、過去を理解することから始まるのです。

Read More…

デザインについて: エステティック

最近デザインおよびデザイン思考についてどう考えるのかと聞かれることが続いたので、あらためて書いておきたいと思います。デザイン思考は重要な成果を生み出しました。しかしながら、デザイン思考の限界を見極め、乗り越えていかなければなりません。京大のデザインスクールで深めてきた議論をご紹介したいと思います。今回は、最初のエステティック(美学=感性論)を取り上げたいと思います。デザイン思考はエステティックを排除しました。デザインが美大を卒業したエリートのデザイナーだけのものではなく、誰でも実践できるという... Read More…

ジェンダーのパフォーマティヴィティ

学部ゼミでJudith Butlerのジェンダートラブルを読みました。自分が読んで感動したもの、そして自分の研究で常に依拠するものの面白さを伝えたかったのです。「スゴいやろ、感動した?」とうれしそうに聞くのですが、「シーン」と反応がありません… ジェンダーのパフォーマティヴィティとは、そもそも性別という概念自体が何か自然に、解剖学的に存在している本質かのように捉えることを否定します。つまり、ジェンダーとは不確かなものでしかなく、そんな本質などないということです... パフォーマティヴィティは、染色体が存在しないとか、染色体を任意に組替えることができると言っているのではありません。男女という二元論はひとつの言説ですが、その言説の前にピュアな自然が存在するということがありえないということです。 Read More…

組織文化論を終えて

大学院の科目『組織文化論』が終わりました。今年度は履修生はひとりもおらず、履修していない学生さんと社会人の方々だけで最後までやりました。昨年度も、学部生や社会人の方が多かったのですが、オンラインになることで、より学外の方が参加しやすくなりました... 私の科目の中でも最も学術的な授業なのですが、なぜか正式にターゲットとしている大学院生ではなく、社会人の方々に興味を持っていただいています。学問が重視されない現在社会において、社会人の方々が学術的な議論に真剣に興味を持っていただいていることは救いです。 Read More…

デザインの「まなざし」

先日、ブログで書いた「まなざし」のあるデザインについて、説明が混乱しほとんど理解されなかったようですので、もう一度トライしたいと思います。... その場に他者の視線がなくても、自分の価値を呈示し、証明していくという弁証法的な過程はあると思います。... デザインされたものには、実際に「眼」はなくても、「まなざし」があるということです。「眼」で見ること(look)は見る主体(subject)に所属しますが、「まなざし (gaze)」は客体(object)にあります。この「まなざし」は、人々の欲望に結び付き、価値の源泉となるのです。 Read More…