ビジネススクールの教員の給料
07 Dec, 2016 filed in:
Business Schoolいろいろ考えさせられることですので... 下記はたまたま周りから聞いた話しですので、あしからず。またビジネススクールに限った話しです。
米国のビジネススクールの教員の給料は、日本の(国立大学法人の)教員の給料と比べものになりません。フルプロフェッサーで150k USD(1,600万円)あたりが相場でしょうか。チェアがつくと倍になります(つまり300k)。
英国のビジネススクールは、現在の為替レートで日本の国立大学の給料より2割ぐらいいい感じでしょうか(高山佳奈子先生が45歳940万円ですのでそれと比べて)。1年前の為替なら全く話しが違って5割ぐらいの差になります。プロフェッサーで、75k-100kポンドのレンジです。
イギリスからデンマークに移った人に聞くと、交渉したけど給料が減ったと聞きました(Brexitの前)。色々な要因によると思いますが、デンマークの方が若干低いというのは意外でした。デンマークはそもそも職業間の差が比較的に少ないです。またデンマークは税金が高そうに見えますが、外国人は5年間税金が優遇されますので、それほど悪い条件ではありません。
フランスは一般的に大学教員の給料は問題があるぐらい低いのですが、(グランゼコールの)ビジネススクールはある程度の水準にはなります。さらに、トップクラスの英文ジャーナルに論文が通ると1本につき10kユーロのボーナスが出るところもあります。アジアの国に多い制度ですが(タイだとUSD15k)、バカにならない額ですね。
ただし海外の大学の給与は交渉などで変化します。イギリスで学内の重要な仕事についた知り合いは120k(1,700万円程度)です。別のイギリスの知り合いは交渉して破格な給料をもらっていて170k(2,450万円程度)です。これはかなり例外です。この方はかなりの研究資金・寄付金を集める力があります。それから副収入もありますね。
余談ですが、米国と勝負をしようとするシンガポールは著名な研究者の招聘に力を入れています。ある場所では大物を年収1億円ぐらいで招聘しようとしたという話しも聞きました(国立大学です)。
ちなみに上記はフルプロフェッサーの話しですので、私は准教授で年齢的にも上記の水準よりはるかに低いです。何の文句もありません。6年前にシリコンバレーから戻ったときにちょうど半分になりましたが(大学ではなく企業でした)、税金も生活費も日本の方がかなり低いです。
日本の国立大学の教員の給料水準は低いし改善の余地はありますが(特に海外から呼ぶために)、逆に自分が重要だと思う独自の研究にこだわることができる側面があります。シンガポールのように高い給料を用意してグローバルで勝負をしようとすると過度な競争となり、全体的に面白い研究よりも論文を出すための研究が重視されます。それはなんとしても避けなければならないところですので、その意味でも給料だけを問題にしない方がいいように思います。そのあたりをヨーロッパの人々はよくわかっていました。
せっかく低い給料をもらっているのなら、他の人の評価を気にせず、自分が重要だと思う仕事をしましょう。どちらもなければ不幸ですね。