2023/4/12 改版
経済学部 (専門I) 2025年前期
木曜3限日13:15-14:45
法経本館法経第二教室
山内 裕
教授
京都大学経営管理大学院
075-753-3536
ObscureMyEmail
このシラバスは多少変更される可能性があります。
社会一般にとって、特に事業にとって、サービスの重要性が増している。サービス業と呼ばれる事業だけではなく、価値が生み出される場として広義のサービスは、どのような事業の経営にとっても重要となってきている。サービス経営学についての基礎を学んだ上で、いくつかの各論について詳細に議論する。
この授業は一部の講義に加えて、Moodleを利用した反転授業として行う。反転授業とは、まずMoodleでビデオ講義を受講し、課題などを済ませた上で、授業ではさらに深い議論を行う形式を言う。つまり各週にアサインされているMoodleの受講を済ませた上で、授業に参加すること。Moodleを受講することの負荷を考慮し、6回分の授業はMoodle受講の時間とし、授業は行わない(授業は9回行う)。
都度指示する。
山内 裕. (2015). 「闘争」としてのサービス—顧客インタラクションの研究. 中央経済社.
サービスマネジメント、サービスマーケティング、サービスサイエンスの基本的な概念を理解し説明できる。
授業と並行してMoodleを受講すること。以前受講したことがある場合は、改めて受講する必要はない。 Moodleは英語のため、ある程度の英語能力を要する(サブタイトルで内容を理解できる)。また授業では日本語でフォローするので、英語力に自信がなくても対応する。
下記Moodleサイトからユーザ登録し受講する。右上Log inを選択し、Create new accountによりアカウントを作成する。「サービス経営学」に登録する登録キーは別途送付する。
授業への積極的な参加を評価する。特に、グループ毎にテーマを決めて議論し発表する機会をもうける。 また4回以上の欠席は、不合格とする。
の点数を換算する。Moodleの点数を提出すること。
参考のために、相互評価を行う可能性がある。
試験およびレポートは行わない。
資料のダウンロード・アップロードはPandAを通して行う。 https://panda.ecs.kyoto-u.ac.jp/portal
PandA上で配布する(印刷して配ることはない)。
以下のカレンダーに掲載する「Open」の時間帯をオフィスアワーとする。Openの時間を確認し、事前にメールでアポイントメントを取る。 https://yamauchi.net/officehour
授業の目的や進めかたを説明した上で、Moodleの受講方法を説明する。
サービスマーケティングのこれまでの流れにそって、サービスのいくつかの定義を議論していく。
村松潤一. (2015). 価値共創とマーケティング論. 同文舘出版. 第2章 「サービス・マーケティング」
Fisk, R. P., Grove, S. J., & John, J. (2005). サービス・マーケティング入門. (小川孔輔, 戸谷圭子). 法政大学出版局. 第1章、第2章
Spohrer, J. C., & Maglio, P. P. (2014). サービスシステムの科学. In サービスサイエンスハンドブック (pp. 145–182). 東京電機大学出版局.
Fine, G. A. (1996). Kitchens: The Culture of Restaurant Work (2nd ed.). University of California Press.
Hochschild, A. R. (2000). 管理される心―感情が商品になるとき. (石川准, 室伏亜希). 世界思想社.
Whyte, W. F. (1948). Human relations in the restaurant industry. New York: McGraw-Hill.
Week 1 Definition of service, Social issues
Moodle Week 1の”Definitions of service”の内容に基づき、サービスの定義を2つ選び、それぞれ1つずつ具体例に則して、説明せよ。スライド形式でまとめ発表できる状態にしておく。
サービスにおいて重視される顧客満足度や顧客歓喜の概念サービス品質のギャップモデルの考え方についてレビューする。
Oliver, R. L., Rust, R. T., & Varki, S. (1997). Customer delight: Foundations, findings, and managerial insight. Journal of Retailing, 73(3), 311–336.
Rust, R. T., & Oliver, R. L. (2000). Should we delight the customer? Journal of the Academy of Marketing Science, 28(1), 86–94.
Dixon, M., Freeman, K., & Toman, N. (2010). Stop trying to delight your customers. Harvard Business Review, 88(7/8), 116–122.
Bitner, M. J., Zeithaml, V. A., & Gremler, D. D. (2014). サービス品質のギャップモデルに対するテクノロジーの影響. In サービスサイエンスハンドブック (pp. 184–204). 東京電機大学出版局.
村松潤一. (2015). 価値共創とマーケティング論. 同文舘出版. 第2章 「サービス・マーケティング」
Heskett, J. L., & Sasser, W. E., Jr. (2014). サービスプロフィットチェーン. In サービスサイエンスハンドブック (pp. 17–27). 東京電機大学出版局.
Week 3 Customer satisfaction, service quality, gap model, value co-creation
Moodle Week 3の”Customer satisfaction,” “Service quality,” “Gap model,” “Value co-ceation“に基づいて、顧客満足度が高い事例1つ、低い事例1つ説明し、サービス品質が高い事例を1つ選び、ギャップモデルに従って分析せよ。
サービスにおいて重要となるホスピタリティや日本における「おもてなし」概念についてレビューする。
山内裕. (2015). 「闘争」としてのサービス—顧客インタラクションの研究. 中央経済社. 第4章
Derrida, J., & Caputo, J. D. (2004). デリダとの対話. (高橋透, 黒田晴之, 衣笠正晃, 胡屋武志). 法政大学出版局.
Derrida, J. (1999). 歓待について. (廣瀬). 産業図書.
Schérer, R. (1996). 歓待のユートピア. (安川). 現代企画室.
Week 5 The concept of hospitality, the culture of hospitality, hospitality in economy, the end of hospitality
Moodle Week 5の”The concept of hospitality,” “The culture of hospitality,” “Hospitality in economy,” “The end of hospitality”に基づいて、ホスピタリティやおもてなしに関連する身近な事例を選んで分析せよ。
サービスにおいて中心となる文化に着目し、文化がサービスの価値と関連することを議論する。特に、サービスが禁欲主義につながることや、権力闘争を写し込むことを議論する。
Bourdieu, P. (1990). ディスタンクシオン. (石井洋二郎). 藤原書店.
石井洋二郎. (1993). 差異と欲望. 藤原書店.
山内裕. (2015). 「闘争」としてのサービス—顧客インタラクションの研究. 中央経済社. 第4章
Week 6 Asceticism, taste, pretention, manners, changing taste
Moodle Week 6の”Asceticism,” “Taste,” “Pretention,” “Manners,” “Changing taste”の内容に基づいて、1つの領域を事例として選び、社会構造(3つの階層)を分析せよ。
サービスにおける弁証法を議論する。
山内裕. (2015). 「闘争」としてのサービス—顧客インタラクションの研究. 中央経済社. 第5章
Leidner, R. (1993). Fast Food, Fast Talk. Berkeley: University of California Press.
Ritzer, G. (2008). マクドナルド化した社会. (正岡寛司). 早稲田大学出版部.
Feldman, M., & Pentland, B. (2003). Reconceptualizing organizational routines as a source of flexibility and change, 48(1), 94–118.
Yamauchi, Y., & Hiramoto, T. (2016). Reflexivity of Routines: An Ethnomethodological Investigation of Initial Service Encounters at Sushi Bars in Tokyo. Organization Studies.
Week 6 Dialectic of service, Master-slave dialectic, Service as a struggle, Intersubjectivity, Popular services
Moodle Week 6の”Dialectic of service,” “Master-slave dialectic,” “Service as a struggle,” “Intersubjectivity,” “Popular services”の内容に基づき、身近なサービスにおける闘争の側面を3つ以上挙げて説明せよ(1つの事例で3つ説明することが難しければ、複数事例を用いてもよい)。
サービスデザインについて議論する。
Stickdorn, M., & Schneider, J. (2012). This is Service Design Thinking. (長谷川, 武山, 渡遺). BNN.
Polaine, A., Løvlie, L., & Reason, B. (2014). サービスデザイン. (長谷川敦士). 丸善出版.
山内裕, & 佐藤那央. (2016). サービスデザイン再考. マーケティングジャーナル, 35(3), 64–74.
Week 8 Service design, human-centered design
Moodle Week 8の”Service design,” “Human-centered design”の内容に基づき、Human-centered designの観点から成功している事例1つと失敗している事例1つを挙げて説明せよ。
サービスの理解を通して、新しいデザインの方法論として、人間脱中心設計。
Stickdorn, M., & Schneider, J. (2012). This is Service Design Thinking. (長谷川, 武山, 渡遺). BNN.
Polaine, A., Løvlie, L., & Reason, B. (2014). サービスデザイン. (長谷川敦士). 丸善出版.
山内裕, & 佐藤那央. (2016). サービスデザイン再考. マーケティングジャーナル, 35(3), 64–74.
Week 8 Human-de-cenred design, Design of culture
Moodle Week 3の”Human-de-cenred design,” “Design of culture”の内容に基づき、1つのサービスを取り上げてHuman-de-centered designの観点からデザインしなおしてみよ。