Destructured
Yutaka Yamauchi

July 2020

デザインのエステティック

海老田大五朗. (2020). デザインから考える障害者福祉 ―ミシンと砂時計―. ラグーナ出版.

障害者福祉におけるデザインに関するこの本を読みました。障害者のためにデザインするという話しを聞くと、それがどれだけ素晴しい取り組みであっても、どうしても上から目線であることに違和感を覚えます。これは障害者に関わらず、他者が生活し仕事をする環境をデザインするというときに、デザイナーが直面する問題です。だから、最近ではデザイナーは一方的にデザインすることはできないし、そうするべきではないという言説がよく聞かれます。誰でもデザイナーだと言うわけです... これらの言説は、デザインの中にある矛盾を消し去ろうとする身振りであり、欺瞞であると言えます。この本は、この問題を考えさせるひとつのヒントを与えてくれました...
Read More…

不便益との違い

学部の授業などで、「闘争としてのサービス」と「不便益」との違いについて、何度か質問を受けました。不便益は学生にはかなり浸透しているようです! ...不便益の議論は、おおむね主客分離の前提で説明できるので、闘争としてのサービスとは理論的には全く違うことを言っていると結論づけることができます。...闘争としてのサービスの視座から不便益を批判することがあるとすると、それはバリアフリーで体力を落とす高齢者の方や遠足のおやつを300円の制約の中で悩む子供を、デザインする...
Read More…