Unknowingly
Yutaka Yamauchi

サービス経営学 (経済学部)

2017/10/5 改版

サービス経営学
(専門I) シラバス
2017年前期

* 詳細は変更する可能性があります *

木曜2限日10:30-12:00
法経2番教室

授業の目的


社会一般にとって、特に事業にとって、サービスの重要性が増している。サービス業と呼ばれる事業だけではなく、価値が生み出される場として広義のサービスは、どのような事業の経営にとっても重要となってきている。サービス経営学についての基礎を学んだ上で、いくつかの各論について詳細に議論する。

反転授業


この授業は一部の講義に加えて、京都大学が発信するMOOC “Culture of Services: New Perspective on Customer Relation”を利用した反転授業として行う。反転授業とは、まずMOOCでビデオ講義を受講し、課題などを済ませた上で、授業ではさらに深い議論を行う形式を言う。つまり各週にアサインされているMOOCの受講を済ませた上で、授業に参加すること。

MOOCを受講することの負荷を考慮し、3回分の授業(518日、615日、713)MOOC受講の時間とし、授業は行わない。(なお2単位の科目なので90時間の学習時間が設定されており、MOOCの受講は24時間程度が想定されている。グループ課題が多いことを考慮し、授業3回分をMOOCの受講とグループワークにあてる。)

テキスト


都度指示する。

参考書


山内 . (2015). 「闘争」としてのサービス顧客インタラクションの研究. 中央経済社.

到達目標


サービスマネジメント、サービスマーケティング、サービスサイエンスの基本的な概念を理解し説明できる。

受講要件


授業と並行してMOOCを受講すること。以前受講したことがある場合は、改めて受講する必要はない。
MOOCは英語のため、ある程度の英語能力を要する(サブタイトルで内容を理解できる)。また授業では日本語でフォローするので、英語力に自信がなくても対応する。

下記edXサイトからユーザ登録し受講することができる。Certificateは購入する必要はない。またE-mailアドレスは何を使用しても構わない(全学メールである必要はない)
https://www.edx.org/course/culture-services-new-perspective-kyotoux-002x-1

評価基準


授業参加 40%
授業への積極的な参加を評価する。特に、グループ毎にテーマを決めて議論し発表する機会をもうける。 また6 4回以上の欠席は、不合格とする。
MOOC履修 40%
MOOCの点数を換算する。MOOCの点数を提出すること。
レポートまたは試験 20%
実施方法は別途伝える。

グループ課題


グループ課題のある週は、各グループで議論した上で、発表できるように準備すること(Powerpointなど)。各グループの発表資料は授業開始30分前までにアップロードすること。

授業用ウェブサイト


資料のダウンロード・アップロードはPandAを通して行う。
https://panda.ecs.kyoto-u.ac.jp/portal

授業資料


PandA上で配布する(印刷して配ることはない)

オフィスアワー


以下のカレンダーに掲載する「Open」の時間帯をオフィスアワーとする。Openの時間を確認し、事前にメールでアポイントメントを取る。
https://yamauchi.net/officehour

計画


1 導入
2 サービスの定義 (講義)
3 サービス研究の概観 (講義)
4 サービスの人間関係 (議論)
5 サービスの体験 (MOOC受講日)
6 顧客満足度 (講義)
7 サービスの観察方法 (議論)
8 おもてなし・ホスピタリティ (議論)
9 サービスの弁証法 (MOOC受講日)
10 文化のせめぎあい (議論)
11 サービスにおける弁証法的な人間関係 (議論)
12 サービスの標準化 (議論と講義)
13 サービス・ドミナント・ロジック (MOOC受講日)
14 サービスデザイン (議論と講義)

セッション


1 導入
授業の目的や進めかたを説明した上で、MOOCの受講方法を説明する。

2 サービスの定義 (講義)
サービスマーケティングのこれまでの流れにそって、サービスのいくつかの定義を議論していく。
事前課題:
村松潤一. (2015). 価値共創とマーケティング論. 同文舘出版. 2 「サービス・マーケティング」
参考文献:
Fisk, R. P., Grove, S. J., & John, J. (2005). サービス・マーケティング入門. (小川孔輔, 戸谷圭子). 法政大学出版局. 1章、第2
Spohrer, J. C., & Maglio, P. P. (2014). サービスシステムの科学. In サービスサイエンスハンドブック (pp. 145–182). 東京電機大学出版局.

3 サービス研究の概観 (講義)
サービス・プロフィットチェーン、サービス品質のギャップモデルなどの考え方をレビューする。またサービスサイエンスの考え方も議論する。
事前課題:
Heskett, J. L., & Sasser, W. E., Jr. (2014). サービスプロフィットチェーン. In サービスサイエンスハンドブック (pp. 17–27). 東京電機大学出版局.
参考文献:
村松潤一. (2015). 価値共創とマーケティング論. 同文舘出版. 2 「サービス・マーケティング」
Bitner, M. J., Zeithaml, V. A., & Gremler, D. D. (2014). サービス品質のギャップモデルに対するテクノロジーの影響. In サービスサイエンスハンドブック (pp. 184–204). 東京電機大学出版局.
Heskett, J. L., & Sasser, W. E., Jr. (2014). サービスプロフィットチェーン. In サービスサイエンスハンドブック (pp. 17–27). 東京電機大学出版局.

4 サービスの人間関係 (議論)
サービスにおける社会的な問題や人間関係についての問題について議論する。サービスにおける従業員同士や客とのステータスの問題や感情労働の問題を取り上げる。
参考文献:
Fine, G. A. (1996). Kitchens: The Culture of Restaurant Work (2nd ed.). University of California Press.
Hochschild, A. R. (2000). 管理される心感情が商品になるとき. (石川准, 室伏亜希). 世界思想社.
Whyte, W. F. (1948). Human relations in the restaurant industry. New York: McGraw-Hill.
MOOC:
Week 1 Introduction
課題:
各グループでサービスにおける人間関係について、身近な2つのサービス事例を選択し、比較分析せよ。MOOCで取り上げた、感情労働(emotional labor)や鮨屋の事例を参考に議論せよ。

5 サービスの体験 (MOOC受講日)
ビデオを見ながら具体的なサービス場面を分析する。518日はMOOCを受講することし、授業は行わない。
参考文献:
山内裕. (2015). 「闘争」としてのサービス顧客インタラクションの研究. 中央経済社.
MOOC:
Week 2 Service Experience
Week 3 Ethnomethodology – Sushi

6 顧客満足度 (講義)
サービスにおいて重視される顧客満足度や顧客歓喜の概念についてレビューする。
参考文献:
Oliver, R. L., Rust, R. T., & Varki, S. (1997). Customer delight: Foundations, findings, and managerial insight. Journal of Retailing, 73(3), 311–336.
Rust, R. T., & Oliver, R. L. (2000). Should we delight the customer? Journal of the Academy of Marketing Science, 28(1), 86–94.
Dixon, M., Freeman, K., & Toman, N. (2010). Stop trying to delight your customers. Harvard Business Review, 88(7/8), 116–122.

7 サービスの観察方法 (議論)
サービスの観察方法の一つであるエスノメソドロジーに着目し、サービスに微妙なやりとりを明らかにする方法を学ぶ。
参考文献:
山内裕, 平本毅, 泉博子, 張承姫. (2014). ルーチンの達成における説明可能性: クリーニング店のオプション提案の会話分析. 組織科学, 49(2), 53–65.
山内裕. (2015). 「闘争」としてのサービス顧客インタラクションの研究. 中央経済社.
Yamauchi, Y., & Hiramoto, T. (2016). Reflexivity of Routines: An Ethnomethodological Investigation of Initial Service Encounters at Sushi Bars in Tokyo. Organization Studies.
Yamauchi, Y. (2015). Reflexive Organizing for Knowledge Sharing: An Ethnomethodological Study of Service Technicians. Journal of Management Studies, 52(6), 742–765.
MOOC:
Week 4 Ethnomethodology
課題:
各グループで、MOOC Week 2, 3, 4で取り上げた、サービスにおける提供者と客の間の相互行為について議論し、その要点をまとめて発表する。MOOCの内容に関する各自の理解をグループ内での議論を通してテストし、より深めていくことを目的とする。

8 おもてなし・ホスピタリティ (議論)
サービスにおいて重要となるホスピタリティや日本における「おもてなし」概念についてレビューする。
参考文献:
山内裕. (2015). 「闘争」としてのサービス顧客インタラクションの研究. 中央経済社. 4
Derrida, J., & Caputo, J. D. (2004). デリダとの対話. (高橋透, 黒田晴之, 衣笠正晃, 胡屋武志). 法政大学出版局.
Derrida, J. (1999). 歓待について. (廣瀬). 産業図書.
Schérer, R. (1996). 歓待のユートピア. (安川). 現代企画室.
MOOC:
Week 5 Hospitality
課題:
各グループで、MOOC Week 5で取り上げた「ホスピタリティ・おもてなし」について議論し、まとめて発表する。

9 サービスの弁証法 (MOOC受講日)
サービスにおける弁証法を議論する。518日はMOOCを受講することし、授業は行わない。
参考文献:
山内裕. (2015). 「闘争」としてのサービス顧客インタラクションの研究. 中央経済社. 5
MOOC:
Week 6 Dialectical Relations

10 文化のせめぎあい (議論)
サービスにおいて中心となる文化に着目し、文化がサービスの価値と関連することを議論する。特に、サービスが禁欲主義につながることや、権力闘争を写し込むことを議論する。
参考文献:
Bourdieu, P. (1990). ディスタンクシオン. (石井洋二郎). 藤原書店.
石井洋二郎. (1993). 差異と欲望. 藤原書店.
山内裕. (2015). 「闘争」としてのサービス顧客インタラクションの研究. 中央経済社. 4
MOOC:
Week 5 Hospitality (Asceticism)
課題:
各グループで、MOOC Week 5で取り上げた「禁欲主義asceticism」について議論し、まとめて発表する。Bourdieuの考え方を正しく理解した上で、禁欲主義が見られるサービスの事例を議論せよ。

11 サービスにおける弁証法的な人間関係 (議論)
サービスにおける提供者と客の間の弁証法的な関係について議論する。
参考文献:
山内裕. (2015). 「闘争」としてのサービス顧客インタラクションの研究. 中央経済社. 4
MOOC:
Week 6 Dialectical Relations
課題:
各グループで、MOOC Week 6で取り上げた「弁証法dialectic」および「相互主観性intersubjectivity」について議論し、まとめて発表する。何か事例を考えて分析するよりも、MOOCの内容を理解することを目的とする。

12 サービスの標準化 (議論と講義)
社会に広く浸透している標準化されたサービスについて議論する。サービスのルーチン化、社会のマクドナルド化、標準化におけるマテリアリティの問題について議論する。
参考文献:
Leidner, R. (1993). Fast Food, Fast Talk. Berkeley: University of California Press.
Ritzer, G. (2008). マクドナルド化した社会. (正岡寛司). 早稲田大学出版部.
Feldman, M., & Pentland, B. (2003). Reconceptualizing organizational routines as a source of flexibility and change, 48(1), 94–118.
Yamauchi, Y., & Hiramoto, T. (2016). Reflexivity of Routines: An Ethnomethodological Investigation of Initial Service Encounters at Sushi Bars in Tokyo. Organization Studies.
MOOC:
Week 6 Dialectical Relations (Popular Services)
課題:
各グループで、MOOC Week 6で取り上げた大衆的な(popular)サービスについて議論し、まとめて発表する。MOOCで取り上げたもの以外に、身近なサービスで同様の事例を探し議論せよ。

13 サービス・ドミナント・ロジック (MOOC受講日)
マーケティングの考え方をくつがえすサービス・ドミナント・ロジックの考え方をレビューする。713日はMOOCを受講する日とし、授業は行わない。S-Dロジックに関する授業は、14週と合わせて行う。
参考文献:
Lusch, R. F., & Vargo, S. L. (2016). サービス・ドミナント・ロジックの発想と応用. (井上 & 中島) (pp. 1–303). 同文舘出版.
Grönroos, C. (2013). 北欧型サービス志向のマネジメント. (近藤宏一, 蒲生智哉). ミネルヴァ書房.
MOOC:
Week 7 Variety of Services

14 サービスデザイン (議論と講義)
サービスドミナントロジックについて補足の説明をする。新しいデザインの方法論である、サービスデザインについて議論する。
参考文献:
Stickdorn, M., & Schneider, J. (2012). This is Service Design Thinking. (長谷川, 武山, 渡遺). BNN.
Polaine, A., Løvlie, L., & Reason, B. (2014). サービスデザイン. (長谷川敦士). 丸善出版.
山内裕, & 佐藤那央. (2016). サービスデザイン再考. マーケティングジャーナル, 35(3), 64–74.
MOOC:
Week 8 Service Design
課題:
各グループで、MOOC Week 8で取り上げた、「サービスデザイン」「人間中心設計 human-centered design」「人間脱中心設計 human de-centered design」の考え方を議論し、整理せよ。