組織行動

2016/3/26 改版

授業の目的


企業、NPO, 政府の活動の経営管理に於いて、組織の経営や管理は重要な問題である。組織をうまく使いこなしながら、事業活動を展開することは、重要な経営スキルである。組織行動論では、経営学の基本として組織の経営の仕方を理解するために、組織の構造(仕組み)と過程(動き)を理解することを第一の目標とする。

この授業は専門職学位課程の基礎科目として、組織行動や組織論の基礎的な考え方を理解しつつ、それに留まらずそれらを批判的に検討できる体力を養うことを目指す。

テキスト


Daft, R. L. (2001). Essentials of organization theory and design. South-Western College Publishing (高木晴夫訳『組織の経営学』ダイヤモンド社, 2002).
Robbins, S. A. (2005). Essentials of Organizational Behavior. Prentice Hall (高木晴夫訳『組織行動のマネジメント』ダイヤモンド社, 1997).

受講要件


特になし

授業の形態と評価基準


出席と授業参加 30%
6回以上の欠席は、不合格とする。出席よりも、授業への貢献度(発言)を重視する。代返は不正行為(つまり留年)となるので、注意すること。
クイズとミッドターム 30%
期末試験 40%

授業用Wiki


資料のダウンロード・アップロードはPandAを通して行う。
https://panda.ecs.kyoto-u.ac.jp/portal

授業資料


PandA上で配布する(ファイルサイズの制限のためKULASISは利用できないため)。印刷して配ることはない。

リーディングアサインメントについて


PDF形式で配布する。特に提出はないが、必ず事前に読んでおくこと。クイズを実施するとともに、読んだうえでの発言を評価する。

ケース


HBSケースは大学院の契約に従い、ハードコピーを配布する。自分の範囲だけで使用してください。必ず事前に読んでおくこと。クイズを実施するとともに、読んだうえでの発言を評価する。

オフィスアワー


以下のカレンダーに掲載する「Open」の時間帯をオフィスアワーとする。Openの時間を確認し、事前にメールでアポイントメントを取る。
https://yamauchi.net/officehour

1週 組織にまつわる諸理論


組織とは何かについて前提から議論する。

2週 科学的管理法・人間関係論


経営学のはじまりである科学的管理法とそれに対する反応として生まれた人間関係論について学ぶ。これらの理論は組織を個人から考える方法論的個人主義であり、そのアプローチの利点・欠点を理解する。
習得するコンセプト:
科学的管理法、人間関係論、ホーソン実験
リーディングアサインメント:
ジェームズ・フープス. 2006. 経営理論偽りの系譜. 東洋経済新報社.
2: 「悪魔」--フレデリック・W・テイラー
5: 「心理療法家」--エルトン・メイヨ
参考文献:
Daft, R. L. 2002. 組織の経営学. ダイヤモンド社. 1特に、20ページ以降、組織の理論と設計に関する歴史的発展

3週 モチベーション


個人のモチベーションに関する社会心理学的理論を紹介する。モチベーションの基本的区分としての内発的動機づけと外発的動機づけについて整理し、外発的動機づけの持つ負の効果や、外発的動機づけを制度化することの困難について理解する。
習得するコンセプト:
衛生要因、内発的・外発的動機づけ、職務特性モデル
リーディングアサインメント:
HBSケース: Nordstrom (A) / Case No: 9-191-002
参考文献
Robbins, S. P. 1997. 組織行動のマネジメント.

4週 リーダーシップ


また、リーダーシップについての研究をレビューする。集団の中でのリーダーの存在がどのような効果をもつか、リーダーシップとそのリーダーのパーソナリティの関係についいて理解する。
習得するコンセプト:
構造作り、配慮、条件適合理論、カリスマ的リーダー
リーディングアサインメント:
HSBケース: Coach Knight: The Will to Win / Case No: 406-043
HSBケース: Coach K: A Matter of the Heart / Case No: 406-044
参考文献
Robbins, S. P. 1997. 組織行動のマネジメント.

5週 情報処理・部門構造


組織を情報処理システムとして捉える考え方をレビューする。機能別組織や事業部制組織のメリット・デメリットを議論し、マトリックス組織などの構造を議論する。また、不確実性などの概念を理解し、コミュニケーションのメディアについても理解する。
習得するコンセプト:
不確実性、情報オーバーロード、機能別組織、事業部制組織、マトリックス組織
リーディングアサインメント
HBSケース: Procter & Gamble: Organization 2005 (A) / Case No: 9-707-519
参考文献:
Daft, R. L. 2002. 組織の経営学. ダイヤモンド社. 3組織構造の基本
Galbraith, J. R. 1973. Designing Complex Organizations. Addison Wesley. Chapter 125.

6週 組織と環境


情報処理モデルに引き続き、組織の環境との関係について議論する。特に、コンティンジェンシー理論における環境と組織構造の関係を学ぶ。また社会ネットワークについても議論する。
習得するコンセプト:
オープンシステム、環境、不確実性、資源依存、ルース・カップリング、弱い紐帯/強い紐帯、行為の社会ネットワークへの埋め込み
リーディングアサインメント:
特になし
参考文献:
Lawrence, P. R., J. W. Lorsch. 1986. Organization and Environment Revised. Harvard Business Press. Chapter 1 and 2.
Pfeffer, J., G. R. Salancik, undefined author. 2003. The External Control of Organizations: A Resource Dependence Perspective New edition. Stanford: Stanford Business Books. Chapter 1
Burns, T., G. M. Stalker. 1994. The Management of Innovation Revised. Oxford University Press, USA. Introduction.
Daft, R. L. 2002. 組織の経営学. ダイヤモンド社. 3組織構造の基本 & 4外部環境と組織の関係
若林 直樹. 2009. ネットワーク組織.
安田 . 1997. ネットワーク分析何が行為を決定するか. 新曜社. pp. 76-104. pp. 133-140. pp. 149-156. pp. 165-172.
Burt, R. S. 1992. Structural holes. Cambridge, MA: Harvard University Press. Chapter 1: The Social Structure of Competition
Granovetter, M. 1985. "Economic Action and Social Structure: The Problem of Embeddedness"; American Journal of Sociology, Vol. 91, No. 3., November 1985, pp 481-510.

7週 意思決定、ルーチン、探索


意思決定や探索を中心としたカーネギースクールという組織論の立場を取り上げる。意思決定のバイアスや限定合理性、ルーチンと探索の関係、探索の方法などを議論する。
習得するコンセプト:
限定合理性、satisficing、ゴミ箱モデル、ルーチン、探索、local/distant searchexploration/exploitationheuristics
リーディングアサインメント:
HBSケース: Mount Everest--1996 / Case No: 9-303-061
参考文献:
Daft, R. L. 2002. 組織の経営学. ダイヤモンド社. 9意思決定のプロセス
Simon, H. A. 1997. Administrative Behavior 4th ed. Free Press. Chapters IV and V.
March, J. G., H. A. Simon, H. S. Guetzkow. 1993. Organizations. Wiley-Blackwell. Chapters 6 and 7.
March, J. 1991. Exploration and Exploitation in Organizational Learning. Organization Science 2(1) 71–87.
Cohen, M., J. March. 1972. A Garbage Can Model of Organizational Choice. Administrative Science Quarterly 17(1) 1–25.
Tversky, A., D. Kahneman. 1974. Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases. Science (New York, N.Y.) 185(4157) 1124–1131.

8週 権力とコンフリクト (+ midterm)


社会科学の基礎概念である権力(power)の考え方をレビューする。権力の源泉、権力の効果などを理解する。
習得するコンセプト:
権力、資源依存、5つの基礎
リーディングアサインメント:
特になしHBSケース: Jamie Turner at MLI, Inc. / Case No: 4254
参考文献:
Daft, R. L. 2002. 組織の経営学. ダイヤモンド社. 10コンフリクト、力、そして政治.
Pfeffer, J. 1981. Power in Organizations. Boston, MA: Pitman Publishing, Inc.
French, J., & Raven, B. (1959). The bases of social power. Studies in Social Power, 61–74.

9週 様々な権力


明示的でマクロなパワーや政治的関係だけではなく、暗黙的、マイクロ、埋め込まれたパワーについても理解する。
習得するコンセプト:
言説、Power/Knowledge、訓練、監視、系譜学、歴史
リーディングアサインメント:
TBD
参考文献:
Lukes, S. 2005. Power: A Radical View 2nd ed. Palgrave Macmillan.
Foucault, M. (1979). Discipline & Punish: the Birth of the Prison (2nd ed.). New York: Vintage.
Winner, L. (1980). Do Artifacts Have Politics? Daedalus.
Laclau, E., & Mouffe, C. (2012). 民主主義の革命.

10週 制度論


メソなレベルである制度という視点を学ぶ。組織に関する重要な理論として制度論(institutional theory)をレビューする。効率と相容れない組織のロジックについて考える。制度とは何か、なぜ制度が存在するのか、正当性とは何か、制度の創出、置き換え、革新のメカニズムについて理解する。
習得するコンセプト:
規範的、規則的、認知的側面、正当性、同型化
リーディングアサインメント:
HBS Case: Global Wine War 2009: New World versus Old / Case No: 9-910-405
参考文献:
Scott, W. R. 2007. Institutions and Organizations: Ideas and Interests 3rd ed. Sage Publications, Inc.
DiMaggio, P. J., W. W. Powell. 1983. The Iron Cage Revisited: Institutional Isomorphism and Collective Rationality in Organizational Fields. American Sociological Review 48(2) 147–160.
Meyer, J., undefined author. 1977. Institutionalized Organizations: Formal Structure as Myth and Ceremony. The American Journal of Sociology 83(2) 340–363.
Hargadon, A. B. (2001). When Innovations Meet Institutions: Edison and the Design of the Electric Light. Administrative Science Quarterly, 46(3), 476–501.

11週 言語・ 実践・文化


組織を言語の観点から捉えることを学ぶ。物語、センスメイキング、ルーチンなどから始め、実践、言語論的転回、構造主義・ポスト構造主義の考え方を含めて議論する。サービスにおける相互行為の分析を用いて、その実例を学ぶ。
習得するコンセプト:
物語、センスメイキング、ルーチン、言語論的転回、実践
アサインメント:
特になし
参考文献:
Weick, K. E. (1995). Sensemaking in Organizations. Sage Publications, Inc.
Garfinkel, H. (1967). Studies in Ethnomethodology. Cambridge, UK: Polity.
Czarniawska, B. (1997). Narrating the Organization. Chicago: University of Chicago Press.
Yamauchi, Y. (2015). Reflexive Organizing for Knowledge Sharing: An Ethnomethodological Study of Service Technicians. Journal of Management Studies, 52(6), 742–765.
Yamauchi, Y., & Hiramoto, T. (in press). Reflexivity of Routines: An Ethnomethodological Investigation of Initial Service Encounters at Sushi Bars in Tokyo. Organization Studies, 1–27.

12週 学習


組織学習に関する諸理論をレビューする。知識、現場の学習、状況に埋め込まれた学習、社会化、学習や知識の政治性などを議論します。
習得するコンセプト:
暗黙知、ハビトゥス、省察、状況に埋め込まれた学習、実践コミュニティ
リーディングアサインメント:
HBS Case: Toyota Motor Manufacturing, U.S.A., Inc. / Case No. 9-693-019
参考文献:
Lave, J., E. Wenger. 1991. Situated Learning: Legitimate Peripheral Participation 1st ed. Cambridge University Press.
Schön, D. A. 1983. The reflective practitioner. Basic Books.
Yamauchi, Y., & Burton Swanson, E. (2010). Local assimilation of an enterprise system: Situated learning by means of familiarity pockets. Information and Organization, 20(3-4), 187–206.

13週 デザインとデザイン思考


企業におけるデザイン思考やデザインイノベーションの意味について学ぶ。また、デザインの基本的な考え方を、参加型デザイン、人間中心設計、サービスデザインなどを交えて議論する。その上で、経営においてデザインをどう利用するのか、実践するのかを議論する。
習得するコンセプト:
デザイン思考、人間中心設計、サービスデザイン
リーディングアサインメント:
HBS Case: Design Thinking and Innovation at Apple / Case No. 9-609-066
参考文献:
Norman, D. A. (2013). The Design of Everyday Things. New York: Basic Books (岡本明, 安村通晃, 伊賀聡一郎, 野島久雄訳『誰のためのデザイン?』新曜社, 2015).
Brown, T. (2009). Change by Design. New York: HarperCollins (千葉敏生訳『デザイン思考が世界を変える』早川書房, 2010).
山内 . (2015) 『「闘争」としてのサービス顧客インタラクションの研究』中央経済社.
山内 & 佐藤 那央. (2016). サービスデザイン再考. マーケティングジャーナル, 35(3), 64–74.

14週 技術と組織


技術の構築と社会・組織との関係について議論する。歴史的、社会的観点から技術とは何か、技術がどう作られ使われるのかを議論する。
習得するコンセプト:
技術決定論、社会構成主義、経路依存性
リーディングアサインメント:
TBD
参考文献:
Orlikowski, W. J. (2007). Sociomaterial practices: Exploring technology at work. Organization Studies, 28(9), 1435–1448.
Barley, S. R. (1986). Technology as an occasion for structuring: Evidence from observations of CT scanners and the social order of radiology departments. Administrative Science Quarterly, 31(1), 78–108.
Rosenberg, N. 1983. Inside the Black Box: Technology and Economics. Cambridge, UK: Cambridge University Press.
Basalla, G. 1989. The Evolution of Technology (Cambridge Studies in the History of Science). Cambridge University Press.
Bijker, W. E., T. P. Hughes, T. Pinch. 1989. The Social Construction of Technological Systems: New Directions in the Sociology and History of Technology W. E. Bijker, T. P. Hughes, T. Pinch, eds. The MIT Press.
Yamauchi, Y. (2014). User knowledge transformation through design: A historical materialism perspective. Information and Organization, 24(4), 270–290.